WEB SPECIAL
特別寄稿
フィジカルAIとCAE
〜ダイカストは新しい時代へ〜
フィジカルAIとCAE
〜ダイカストは新しい時代へ〜
フィジカルAIとCAE
株式会社 鹿取事務所
鹿取 貞夫
C3P Software International, Co.,Ltd.
Xiaojun YANG、PhD.
フィジカルAIが、CAEソフトウエアが担っていた鋳造シミュレーションを大きく変える時代が数年後に迫っている。従来のCAEシミュレーションには生産の工程が分単位であるのに対して数時間単位の計算を必要とする。フィジカルAIはこの応答速度を秒単位に高める。加工工程のセンサーからの情報とCAEをリアルタイムで接続し、製品に欠陥や温度ムラが生じた場合、逆算して最適な型温・射出条件の自律的に修正する。C3P SoftwareはフィジカルAIモデルをCast-Designer環境に統合し始めており、将来は特定のアプリケーション向けにビッグ・データ駆動型モデルを提供する予定である。
●日本のEV生産
日本の新車生産に占めるEVの割合は4%に過ぎない。欧州では30%を超えている。中国の生産量と低コストは圧倒的である。中東からの石油供給の不安定も海外のEV需要を刺激している。日本も石油消費を抑制すべきだが、発電自体を石油、天然ガスに大きく依存しているためかEVの寄与は無視されている。
日本の自働車産業には、EV生産技術、SDV(自動運転)、電池開発においての先進性がなかなか見えてこない。価格は極めて高額の補助金に依存している。米国市場へのEV車輸出は困難であり、他の市場は中国車との競争を覚悟する必要がある。
日本の自動車生産が専ら高付加価値、高級車に向かうことが予想されるが、その一方で、大衆向け低価格車を無視するわけには行かない。市場の台数の40%を低価格車が占めている。この分野に、中国車が拡販を目指している。結局、日本のメーカーはEV生産に力点を移す以外に選択肢は無い。現に、スズキが中国車の価格に対抗できる価格の軽自動車を11月に発売するという。
●ギガキャスト
EV車生産のコストを引き下げるため、ギガキャストは必須の手段である。Cast-Designerが米国Tesla社を初めとする世界と中国のEV生産を、そのギガキャスト鋳造シミュレーション技術で支えてきた。そのCAE技術をいずれはフィジカルAIがさらに発展させる。そのCAD/CAEデータは、AIが加工工程と形状結果を関連付けて推論するためのベースとなる。製品形状、スリーブ、ランナー・ゲート・オーバーフロー、冷却経路の設計、金型構造の3DモデルとCast-DesignerでえられるCAE解析の事前データ、流動温度・速度)、冷却・凝固過程、残留応力、歪み予測のデータなどである。この点、Cast-DesignerはAIの理想的なパートナーと言える。
日本のEV生産が増大するのは必然の流れである。ギガキャストはその生産に必須の手段である。その設計と工程開発に、大企業が使用するCAEは長大な時間を浪費する。Cast-Designerの迅速な解析を世界の多数の自動車メーカーが必須とする理由である。
●Cast-Designer V7.11によるアップデート
C3P社は2026年9月、メジャー・リリースV7.11を発表した。世界のユーザーの要望に応えて追加された機能は、主に大型製品、複合製品の生産に対応する機能である。
スクープ・ゲート:従来の形状では安定した充填が難しかった大型高圧ダイカストや半凝固部品向けに開発された。(図1)
●ギガキャスト金型の自動メッシュ生成:数百個の部品から構成される金型アセンブリ全体のモデルも自動でメッシュ生成が可能。数億個もの要素を持つモデルを、128GBメモリ・クラスなどの標準的なエンジニアリング・ワークステーションで処理できる。(図2)
●チクソ・モールディング:大型アルミニウム・マグネシウム構造鋳造品の鋳造壁厚の影響や溶融金属の流れ方向を評価。
●グラフィック性能の大幅向上:メインビューでのモデルの回転速度が最大100倍、オブジェクトの消去速度が2〜5倍に向上。
●RTM複合材料硬化シミュレーション:樹脂粘度と繊維抵抗モデルを用いたRTM(樹脂トランスファー成形)フロー・プロセスをサポートする。
(図1)スクープ・ゲート
(図2)固定・可動型ほか全てを一体化したビッグ・データの解析計算
●Cast-Designerの物性解析機能
Cast-Designerはゲートシステム開発から鋳造結果物性解析までの一気通貫が重要な特色である。CDPEオプションは鋳放し製品に対する物性解析機能である。不良率の改善と労務、時間の節減には、鋳放し段階での物性解析が極めて有効であり、大型製品の場合は明らかに必須である。一般の慣習である完成製品に対する物性解析は不可欠ではあるが、その労力と多大の時間はCast-Designerによる事前物性解析が大幅に削減できる。
●CDPE非線形ソルバーの機能強化:従来の陽解法・陰解法に加え、要素活性化機能が追加され、ゲート除去シミュレーションなどに活用できる。速度・加速度境界条件による動的プロセス・シミュレーションや、異なるメッシュ間でのボリューム・ベースマッピングに対応している。
●要素有効無効化と連成応力解析:特定の特殊製造プロセスのシミュレーション要件を満たすため、新しい要素有効化機能が利用可能になった。解析中にユーザーが定義したシーケンス、時間ステップ、または温度条件に基づいて要素を有効化または無効化できる。この機能は、鋳造プロセスにおけるゲート除去シミュレーションに非常に役立つ。
●速度境界条件/加速度境界条件:
動的プロセス・シミュレーションに使用できる。
●おわりに
中東からの石油供給が回復しつつある。世界各国の経済が正常な成長を取り戻す。日本の設備投資額は急速な伸びを示している。部品生産の基礎と言えるダイカストへの期待は大きい。
以上
日本販売店 (株)鹿取事務所
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開発元 C3P Software International, Co.,Ltd.
Hong Kong, Guanzhou, New York.
HP: https://www.cast-designer.com/