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販売戦略

販売戦略とは、きっかけづくり

 商品等を売り込むには営業スタッフなど販売体制整備に固定費が長期に及び想像以上にかかる。まして国内ダイカスト業界はマンパワーを充実させ、リターンが見込めるほど市場が大きくない。このため「名刺交換をしたことを機に頻繁に営業的アプローチをされ辟易している」という話しを聞くことがある。インターネットのおかげで日々の業務にメールは欠かせないが、これを販売促進に使うと受け手側は大変迷惑することが多い。業務伝達としてのやり取りなら大変重宝するが、取引もしていない業者からの営業案内は煙たがられるだけだ。


 これはFAXでも同様で、受け手側からすると悪い印象しか残らない。安易に、安上がりに済まそうとする魂胆がみえるためで、受け手側はこうした行為に嫌悪感を持つ。効率化が叫ばれるが、コミュニケーション手段を安易に省略すると礼を失することになり逆効果といえる。送り手の企業姿勢さえ疑われかねない。新規開拓でインターネットの使い方は意外と難しい。


 新規開拓において、最初のアプローチはアナログの方が無難なのだ。手間もコストもかかるが、昔ながらのダイレクトメール等の手法を用いた方が、少なくともマイナス印象は与えにくい。一見遠回りにみえてもこうした愚直な姿勢が好感を持たれやすい。逆にいえば「手間がかかっているように見せる」ことも商売上手の一つだろう。ただ昔ながらの飛び込み営業は「顧客の時間をいきなり奪う」と看做され、今のご時世は敬遠されるので留意すべき点だ。IOT化等で効率化、スピード化は格段に進化しつつあるが、意外にも「伝える」といった面で神経を使い、負担が増えている側面が現在のビジネス環境にはあるといえる。


ユーザーと何らかの接点を持つことが第一の営業だが、コロナ禍で足踏みする企業が大半だ。このため従来以上に販売戦略を入念に整える必要性が増している。とにかく客を呼び込む戦略をつくることが、身動きが効かないコロナ禍では必須になる。「どれだけ顧客に見てもらえるか」にこだわることが自社商品を持つ企業にとってのサステナブルといえる。「販売戦略とは、きっかけづくり」で、最初から目先の利益にこだわると戦略は生まれない。損して得取れ、は生きている。いいモノを作っても顧客は来ないが、いいモノを作りその上でキッカケ(お買い得感など)を提供するとヒトは吸い込まれる。他の商品にも眼が行き、売ろうとしていた商品での利益よりもっと上の利益を得られることもある。自社の商品に自信があるならば、この戦略は当たる。一方、自信がないとただの安売りになり、赤字に陥ることも忘れてはならない。

2022年1月11日配信