ゲート・ランナーの厚肉化を迅速、安全に切断
Hypertherm Inc
XPR460
ウォーターインジェクション切断
米国の大手プラズマ切断装置メーカー、ハイパーサーム(ニューハンプシャー州)はギガキャストを始めとするアルミダイカスト製品の大型化需要に合わせ、日本支社のハイパーサームジャパン(大阪市西区、TEL06-6225-1183)を営業拠点に日本市場のダイカスト向け本格販売を開始した。
同社のプラズマ切断装置はギガキャスト用トリミング装置として世界的に導入台数(約80台)が増え、アルミダイカスト製品のゲート・ランナーの厚肉化傾向にある日本国内でも引き合いが目立ってきた。アルミダイカスト製品のトリミング用として同社は「XPRシリーズ」、「MAXPRO200」、「POWERMAXシリーズ」の3種類のプラズマ切断装置をラインナップ。それぞれWiFi通信を使っての自己診断確認機能、開先切断用消耗品、狭所用消耗品といった多機能・オプションを用意する。産業用ロボットに組込むことで、熟練労働者への依存を最小限抑え、生産性向上と作業現場の事故大幅軽減が可能だ。
なかでもXPRシリーズは業界一の切断品質が得られる「X-Definition」技術を搭載した革新的プラズマ切断装置で、消耗品の使用量を低減し運用コストも大幅削減できる。例えば自動トーチ保護機能では電極寿命によるトーチの致命的な損傷を防止できる。
XPR460(写真)は塗装や錆など表面状態が良好とはいえない状態のアルミ、軟鋼、ステンレスでも高精度切断できる世界で最も強力で汎用性に優れた装置。滑らかな切断面、低テーパー角度によりドロスや再加工を減らし、二次加工削減に寄与する。細かな出力設定が可能で、また厚板の45°の開先切断の品質を向上し、効率的な溶接が可能。仕様は最大出力460アンペア、アルミの最大ピアシング板厚が50㍉、460 A での 20 ㍉厚アルミの切断速度3958㍉/分。
Hypertherm Incニューハンプシャー州本社
Hypertherm Incニューハンプシャー州本社Entrance
【ハイパーサーム】1968年創立。創業当時はプラズマ切断のみ取扱い、現在はウォータージェット切断装置、レーザー切断装置、オートメーション機器、ソフトウェア、消耗品と幅広く扱う工業用切断ソリューションメーカーとして24カ国に自社拠点を持つ。日本事業は1980年代に日本の商社を通じ製鉄所へプラズマ切断装置を納入したのを皮切りに、2006年に日本法人を設立。多種多様な業種に納め、昨年10月時点で1500台超のプラズマ切断装置が日本で稼働する。今後は車構造部品で鉄鋼からダイカストに置換する流れを捉え、世界有数のカーメーカーが揃う日本市場開拓に注力する。
【プラズマ切断装置の特徴】高温のプラズマアークを利用して切断するプラズマ切断装置は複雑形状や厚肉製品、曲線も簡単に短時間切断でき、初期投資を抑えて設備導入ができる。複雑な設定や高度技術を必要とせず、初心者でも短期間で使いこなせ、中小企業の現場でも即戦力として使いやすい。また装置一台で鉄、アルミ、ステンレス鋼といった多様な導電性材料に対応、消耗品と条件変更のみで多品種少量生産や超短納期が求められる新製品試作にも適している。
アルミ切断が可能なプラズマ切断法は複数あり、代表的な切断方法として作動流体に空気を使った「エアプラズマ」、窒素を使った「窒素プラズマ」、アルゴン・水素・窒素の混合ガスを使った「ガスプラズマ」、窒素と水を使った「ウォーターインジェクションプラズマ」がある。
日本国内でプラズマ切断装置の導入が進んだ1980年代は比較的厚い鉄を切るための導入が主だったが、その後発電所・水門等用のステンレス鋼、船・タンク等用のアルミの切断装置として普及。日本で一番馴染みがあるプラズマ切断法は「エアプラズマ」だが、近年アルミダイカスト製品のトリミング用としてスパッターと呼ばれる溶けた金属の製品への付着を抑えて切断できる「ウォーターインジェクションプラズマ」の採用が増加傾向。