WEB SPECIAL
特別寄稿
ダイカスト産業の未来を築くCast-Designer
〜ダイカストは新しい時代へ〜
ダイカスト産業の未来を築くCast-Designer
〜ダイカストは新しい時代へ〜
ダイカスト産業の未来を築くCast-Designer
鹿取事務所
鹿取貞夫
C3P Software International Co. Ltd.
Xiaojung Yang, PhD.
米国関税15%は重荷だが、耐えられるかもしれない。しかし、向こう1~2年、自動車をはじめとする日本の産業は停滞を免れない。日本経済には高齢化、少子化による物資消費の減退がある。ダイカスト産業に明るい未来が来るか?答はYes!である。
ウクライナの戦争は永遠に続くわけではない。アジア、中東、アフリカに見る紛争はいつか終わる。そうなれば東欧諸国はもちろん、ロシアをはじめ世界の至るところで物資需要が巻き起こる。中国を先頭に工業国の全てが激しく市場を競う。日本の自動車産業もかつての生産台数世界一を取り戻す。
この状況の下、個々の企業の未来はその「智力」に依存する。新需要を予測し、新規製品の開発と製造を強力に推進できる智力である。鋳造の設計とシミュレーションのソフトウエアCast-Designerは、設計の自動化、製造の結果予測と工程の時間と労力の節減を低コストで実現する。設計とシミュレーションによる予測力の強化こそ智力そのものである。
Cast-Designerが関与するTesla社の電気自動車(EV)は米国の環境問題に対する消極化が躍進を妨げている。しかし、その米国でFordもEV市場に新規参入する。一方、中国は電池、充電技術、SDVを押し進め、夢の未来へ、その道をばく進中である。日本市場へも積極的に進出する。欧州でもEVのシェアが上昇中である。日本は周回遅れとなった。しかし、資源に乏しい日本には軽量化、省エネ、省資源へ一途の道を辿る以外に選択は無い。しかも、EVは戦乱終息後拡大する世界市場の重要アイテムである。
ギガキャストは今やダイカストの常識である。中・小型部品の複合化、複雑製品の要求も増加している。部品点数の削減は少子化による人手不足を補う。Cast-Designerは米国のギガキャスト開発、生産に加わり、中国で発展を遂げた。日本においても大型中型部品製作のため次々と実装されている。(図1)
(図1) EV車フロントフレームのギガキャスティングシミュレーションモデル
SmartRunner機能はギガキャストの複雑なランナを10分間で自動設計できる。QuickCastゲートシステム設計評価機能は、任意の法案に対してフローの結果を即座に評価する。解析と修正の繰返しを大きく削減できる。Cast-Designerのメッシング法FastMesh機能は要素数を大幅に削減し、その結果、計算時間を短縮するとともに、ユーザーが必要とする精度を十分に満たす。シリンダーから型締めまでのプロセス全体を統合して全てを節点マッチのアセンブリとする。大、中型パーツに対し、2mm~2.5mmの要素サイズで高速かつ高精度の解析結果を得る。大型パーツに対して1mm単位の要素サイズで計算するなどは時間と労力の大きな無駄である。(図2)
(図2) 3Dゲートシステムと充填後の温度分布
特に大型の金型セットの場合、生産中の鋳造システム全体の熱管理が非常に重要になる。解析結果に基づく設計修正を繰り返せば、膨大な時間を浪費する。SmartCooling機能は、冷却場所を予測し、レイアウトを自動的に作成し、チャネルの特性を評価して最適化を実現する。(図3)
幾つかのメイン・ブロックと多数のサブ・ブロックごとに分割しての設計は容易、迅速である。「自動レイアウト」は熱バランスに基づいて、冷却の長さやその他のパラメータを計算し、スライダを含む冷却チャネルのレイアウトを自動的に作成する。これで、冷却チャネル設計の性能をオンラインで確認できる。
その結果をExcelフォーマットで編集し、XLS ファイル形式と Marco スクリプト経由を経てCatiaなど全てのCADに転送できる。Tesla、Ford、そして中国企業などのOEM企業によるテストでは、非常に良好な結果を得ている。これらは他のCAEソフトに無い機能である。一定のコンフォーマル冷却チャネルの設計・評価も可能である。
(図3) 自動冷却システム設計
複雑な鋳造形状、特に薄壁やリブ構造の場合、エジェクタの設計も課題となる。SmartEjectorはまず自動的にピンを配置し、「自動予測」ボタンをクリックするとシステムがそのレイアウトの効果を予測する。エジェクタ・ピンのたわみ、鋳造の欠陥を予測評価できる。ピンのすべてのプロパティ・パラメータはデータ・シートにリストされており、ユーザーはExcel の作業スタイルでプロパティを編集しCADに転送できる。(図4)
(図4)エジェクター予測と最適化
Cast-Designerの応力解析は、たとえば大型ギガキャストに著しい効果を発揮する。他のソフトでは128個のコア数が必要なのに対し、Cast-Designerは32または34コアで十分である。スリーブから凝固までの全体を連結計算する場合でも、ファスト・メッシュが節点一致のアセンブリを生成する。大企業では大型計算機を並列させることが多い。Cast-Designerは一台のパソコンで十分である。Cast-Designerは全ての応力解析を果たし、LS-DYNA、PAM-CRASHなどによる衝突解析や、Abacusの計算結果を形状に取り込むこともできる。
多くの企業は鋳造結果の応力解析に高度で複雑なシステムを使う。それには長時間、労力、学識経験が必要、しかしCast-Designerは学習容易。Cast-Designerはパーツおよび金型の変形等など全ての応力計算を短時間に高精度に遂行する。変形修正オプションも提供できる。これら多くの機能は他のダイカストCAEパッケージには存在しない。(図5)
(図5) 金型応力・変形シミュレーション
方案の最適化にはCast-DesignerのDOEを推奨できる。大、中型部品にはコアの増設(8~32)が必要であり、そのためのソルバー追加のコストが必要であるが、DOE機能自体は原則無料である。ただし、ユーザーは統計学の知見が求められる。必要に応じて、GA(進化論的最適化)も提供できる。これを活用するにはCast-Designer標準機能と応力解析機能の使用経験が一年以上必要である。
気孔は鋳造解析の基本的な課題である。Cast-Designerの流動・凝固解析はガスの運動を発生から消滅までの経過を表示し、凝固時点での気孔形状、位置(表面か内部か)、総体積を示す。(図6)
(図6)ガス・ポロシティのシミュレーション
製品の強度、軽量化の要求に応えるマグネシウムを含む新材質、半凝固鋳造などに挑戦するユーザーを支援する。チクソ成形の解析予測は容易ではないが、実際に一定の成果を挙げている。必要に応じ、デンドライトに至る微細構造解析を解明する。
Cast-Designerは日本のダイカスト産業に明るい未来をもたらす。自動車産業に限ることなく、車両、航空機、構築物、防衛機器等の製造産業への寄与はもちろん、農・漁業、食品加工、サービス、金融、社会制度など全分野にわたる自動化機器生産を加速する。
ダイカスト業界は労働力の不足、賃金と素材価格の上昇にも直面する。活路は新しい製品への素早い対応、時間と労力の節減を図ることにある。市場参入の機会を逃さないためには設計、開発、CAE工程の高速化は必須の条件である。Cast-Designerは導入し易い価格で、学習も容易である。高度の智力と解析スキルを身に着けた人材が育つ。
Cast-Designer開発元:
C3P Software International Co. Ltd.
Hong Kong, Guanzhou, New York
日本販売店:鹿取事務所
〒222-0002 横浜市港北区師岡町1062-3
メール: katori@imold.jp
URL: https://www.imold.jp