(株)ダイレクト21

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全数含侵レス、鋳造機の大幅ダウンサイジング化に大きく前進

世界初、第射出による超高圧法で鋳巣割超削減を実証

二次充填によるダイカスト製品の内部欠陥改善策としてダイレクト21(神奈川県相模原市、岩本典裕社長、TEL(042-705-2431)がランナーからの第二射出を取り入れた超高圧ダイカスト法「スーパースクイズシステム」を昨夏発表したが、大手メーカー2社によるCTスキャン結果で鋳巣比率が従来鋳造(1.50%)の1/6(0.25%)に減少することがわかった。


同システムはランナー加圧(ゲート凝固前)と新局部加圧(ゲート凝固後)を組み合わせ、従来の約4倍となる鋳造圧力250MPaで加圧するが、バリやフラッシュ発生もなく金型損傷もほぼ抑制されるのが特徴。特にランナー加圧は従来鋳造の射出をワンパンチとした場合、ツーパンチとして超高圧加圧が可能となり、大幅に製品密度向上を図れる。

今回評価した製品は局部加圧を使用している耐圧品で、ランナー加圧を使ったところ製品密度が高くなることが分かった。製品比重もADC12の素材比重2.68に対し、2.69~2.70と同等以上の検証結果が得られた。また加圧力が高いため外観品質向上にも貢献する。

これにより従来全数含浸が必要だった製品の含浸レス化が期待でき、さらに同一キュアリングタイム中にランナー加圧を行うためサイクル遅れがない。多数個取りもランナー加圧1カ所で対応できる。ランナー加圧は最適なゲート厚さの検討を要すが、薄肉製品は従来ゲートでも制御性を高めて効果を出せる。耐圧製品ではゲート厚さの変更が必要となる場合があるが、製品部形状が変わるわけではないので客先承認不要でダイカスター独自で品質改善できる柔軟性も利点だ。

6千㌧超マシンによる巨大製品も3千トン以下マシンで製造可能か

また、ツーパンチ効果が実証された事によりダイカストマシンの大幅なダウンサイジング化に貢献し、1200㌧機⇒500㌧機、800㌧機⇒350㌧機とダイカスターにとっては既設マシンでより大型の製品を取り込める道筋ができた。近年、世界で市場投入が活発な超大型機6千~8千㌧機での巨大な製造対象製品も、既存の3千~2500㌧機で対応できる可能性もある。車体部品やEV関連品、基地局等の5G部品など巨大部品のダイカスト化を安く、早くどこでも量産できる新手法として期待がかかる。

同システムによりダイカストマシンのダウンサイジング化ができるのは以下の仕組みによる。従来は(型締力>投影面積×鋳造圧力)の制限があったが、ランナー加圧では加圧タイミングを金型バリ吹き臨界時間より遅らせることでバリ発生を抑制し、型締力を超える鋳造圧力を実現する。さらに給湯量のバラツキが最良加圧タイミングに影響するため、独自制御回路を装着して安定した連続動作ができ、これにより従来の増圧動作をなくすことができるためダイカストマシンに金型を取付けることができればダウンサイジング化が可能となる。

なお、スーパースクイズシステムは2018年発表の新局部加圧システムとそれをベースに大手ダイカスターと共同開発したランナー加圧装置で構成する。この仕組みによりランナー加圧ピンや局部加圧ピンで押しのけられた溶湯はほぼ製品部へ圧入され、ヒケ巣防止や製品内部密度向上に寄与する。ダイカストは溶湯を金型に充填し昇圧完了までの時間が約0.1秒で、金型内の溶湯は数秒しないと固まらないため、溶湯は生きている状態になる。そこで金型内に設置した加圧ピンで生きている溶湯を超高圧250MPaで加圧し内部気密を改善するのが第2射出の特徴になる。

ランナー部からの第二射出という考えの源流は1966年のGM社のアキュラッド法で、プランジャー中央のインナーピストンで第二射出を行う仕組みだったが、溶湯が逆流(チップ後退)し、思うほど効果が上がらず定着しなかった。これを踏まえ、ダイレクト21開発による「スーパースクイズシステム」のランナー加圧は溶湯逆流(チップ後退)に対し、逆流防止溝(国内外特許出願済)を設けており、従来の金型ランナー部に改造も容易になった。


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