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特別寄稿第二弾

Cast-Designerの鋳造と溶接のシミュレーション 

〜ダイカストは新しい時代へ〜

Cast-Designerの鋳造と溶接のシミュレーション
            鹿取事務所 鹿取貞夫

大型複雑構造物の鋳造と溶接


EV車のギガ・キャストに、Cast-Designerが殆ど必須の貢献をすることは、本紙の前号で述べた。さらに、Cast-Designer Weldingが大型構造物の溶接ライン・シミュレーションをする画期的な提案にも触れた。

ギガ・キャストのような大型鋳造製品の方案をシミュレーションするに当たって、ゲート・システム設計はCast-DesignerのSmart Runnerなどが、本来なら必要な所要時間や労力を大幅に軽減するが、次に鋳造熱流動、凝固の解析および製品の物性の予測についても同様の効果を発揮できるだろうか。答えはYESと言ってよいと考える。

Cast-Designerは方案の流動解析をほぼ標準機能で提供する。物性解析は主に「メック・ソルバ」、「ストレス・ソルバ」、「変位量解析」等のオプション・プログラムが担う。仮に、それらが解決しきれない事象があるとすれば、別途サポート(有償・無償がある)で、問題に対処する。

大企業では、Cast-Designerが使うFEM(有限要素解法)ではない、FEA(有限要素解析)が使われることが多いと思わる。準備と計算に長い時間を費やすことが新規案件開発を妨げているかもしれない。新規案件開発には、所要労力が小さく、遥かに高速であるFEMシミュレーションが適している。ゲート・システム検討から始まり、ソリューションに到る全てのプログラムがパッケージされている便利さもある。必要なら、Abucusへのプレプロセス機能も提供できる。

溶接ラインのシミュレーションは、溶接ライン設計作業に先立って行う。作業が重複することになるが、溶接結果不良のリスクとのバランスを考えれば、適切な労務であることに疑いは無い。


解析計算上の問題 


FEM(有限要素解析)は生成メッシュが解析目的に的確に沿っている必要がある。非常に細かいメッシュは精度のレベルを上げるが、計算時間を異常に消費し、あるいは計算機の能力を超える。Cast-Designerは六面体メッシュを活用し、指定の部分のみを細分化し、それ以外のメッシュ・サイズを比較的大きくすることで、計算時間と計算の負荷を節減している。必要に応じて、六面体以外の全てのメッシュ形態に変換して計算することも可能である。

製品部分に加え他のコンポーネント(スリーブ、物理的金型など)を一体化して、熱流動解析あるいは応力解析を行うには、3次元メッシュ・アセンブリ形成の機能がある。各コンポーネントの界面に接するメッシュの節点を連続させる必要があるときはそれを結合できる。 メッシュに存在する欠陥は、主としてCADの欠陥(自己交差、重複など)からもたらされる。Cast-DesignerはCAD読込み時に自動修正をするが、それでも残存する場合、Cast-Designerは、修正労力を最小限に止めることができる。

メッシュに対するパラレル計算は、多くの偶然に遭遇することで、結果の変動または計算の停止が起きる可能性がある。シングル計算であれば安定的な計算結果が得られるが、計算所要時間は長くなる。解析計算が成功しない場合、製品設計の見直しも考慮する必要がある。

ストレス・シミュレーション 

フル金型のシミュレーション

溶接のシミュレーション 


Cast-Designerは自動車、車両、船舶、掘削機械、原子力発電、風力発電、パイプ構造などの大型構築物の溶接シミュレーション・ソフトウエアである。 大型構築物の溶接欠陥は、後日巨額の修理、事故処理のコストを惹き起こす危険性がある。これを未然に防ぐことは、絶対必要条件である。現状では、それを高度の技術経験者の経験のみに依存しているのではないのだろうか。巨大構築物を隅々まで物理検査することも可能ではない。検査の労力と時間はコストを大きく増大させる。しかもし、肝心の技術者が不足している。

Cast-Designer WeldingはFEM(有限要素解析法)を使って、溶接ラインをシミュレーションし、応力、残留応力(変形)を予見する。他の同種のシミュレーション・ソフトウエアが解析に必要とする時間は、数週間、数か月である。Cast-Designer Weldingが必要とするのは数時間である。 

EV車のバッテリー・ケースの溶接工程を検討

車両アセンブリ溶接

シャーシー・アセンブリ溶接 

建設機械の溶接

業界の再編成


日本の製造産業には、3次元CADが十分に普及していない。FEM解析を必須手順とすることが難しい事業者が少なくない。このような技術の遅れによって、日本の造船業界は世界市場で低落の憂き目を見ている。しかし、将来は新種のキャリアが開発され、一変することが期待されている。

テスラ、BMW,フォルクスワーゲンらと中国の数社のEV車生産が驚異的な率で上昇しつつある。低下価格車の市場参入も目前に迫っている。2030年以降、水素、合成燃料HV車を除く内燃エンジン車の生産が禁止されるEUでは当然の流れである。日本市場でのEV車輸入台数も、急増中である。しかし、日本のメーカーのシェアは低く、それほど開発を急いでいる気配も無い。

新しいバッテーの開発、制御システムの開発、車体の製造の全てにわたり、世界的な合従連衡が進むことが予想される。関与するOEM企業間の熾烈な競争によってユニークな開発が進む。

企業は積極的に新技術を導入し、技術者の育成強化をはかり、産業の再編に備える必要がある。Cast-Designerは日々の効果だけではない。ユーザーの学習を通じて、企業の将来を担う技術者を育成する手段でもある。


                      資料提供

C3P Software International Co.,Ltd.

                     New York, Hong Kong, Guanzhou.

                  https://jp.cast-designer.com/


(次号へ続く)

 

資料提供

C3P Software International Co.,Ltd.

New York, Hong Kong, Guanzhou.

https://jp.cast-designer.com/

2023年ダイカスト新聞10月30日号掲載

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