年 頭 所 感
一般社団法人日本アルミニウム合金協会
会 長 田 代 裕 一
令和7年の新春を迎えるにあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
会員の皆様方並びに関係各位の皆様におかれましては、本協会の運営に際し、ご支援、ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年は、ロンドン金属取引所のアルミ相場が1月にトン2,200ドル台前後であったものが、5月には2,700ドルに近接するほど上昇し、10月以降は、2,600ドル台前後で推移しました。為替は1月に1ドル140円台後半でしたが、10月以降は150円台前半で推移しました。これらの影響が国内のアルミ相場に及ぶ状況となりました。
アルミニウム二次合金の需要を支える我が国の自動車メーカーは認証不正やリコール問題に直面し、2024年1月から9月までの国内自動車生産台数が前年同期比で約9%減となりました。また、二次合金の国内需要の8割を占める鋳物・ダイカスト製品の同期間の生産量は前年同期比で約6%減となり、当協会の統計による1月から10月までの二次合金地金の生産量は前年同期比で3%減となりました。
当業界の経営面では、原料となるアルミスクラップの発生量の減少が長期間に及び、一方でスクラップ価格が一昨年に引き続いて高止まりするなかでアルミ合金地金の販売価格が低迷する等、厳しい環境に直面しました。
令和7年の我が国の経済は、長きにわたったコストカット型経済から脱却し、賃上げと投資がけん引する成長型経済に移行できるかどうかの分岐点にあるとされており、雇用・所得環境の改善の下で、緩やかな回復が続くことが期待されています。
当業界といたしましては、国内自動車生産の回復を期待するとともに、生産回復に伴い増加するアルミ合金需要に対し、原料となるスクラップの調達、原材料の価格変動への対応等々、様々な課題に的確に対応していくことが重要になって参ります。
また、事故のない安全な作業の実施により、安定した操業を維持することが重要であり、安心・安全で魅力ある職場作りに努めることが必要であると考えます。
近年、カーボンニュートラルへの取り組みから再生アルミに対する関心が高まっており、アルミ二次合金のニーズは今まで以上に高まると考えています。
地球環境保全が人類に必須かつ喫緊の課題となっている中で、国内で発生するアルミスクラップを重要な基礎素材であるアルミ二次合金として安定供給することにより、二酸化炭素排出削減に寄与するとともに資源循環の一翼を担い、近年注目されているアルミ水平リサイクルにも貢献する当業界の果たすべき役割と責任の重大性は今後も更に重要になってくると確信しています。
協会と致しましては、引き続き、経済や環境対策などに関する施策や関連する情報の早期の収集と伝達に努めるとともに、個別企業では対応が困難な諸問題に取り組んで参る所存です。
最後になりましたが、関係各位の皆様の一層のご支援、ご協力をお願い申し上げるとともに、皆様のますますのご発展とご健勝を祈念いたしまして新年の挨拶といたします。