芝浦機械(株)

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大型部品需要に設備ダウンサイジング・複合化と接合技術で挑む

ダイカストマシン、加工機、ロボットまで脱炭素ソリューション展開

CO2排出削減へ向けた脱炭素対応と、クルマのEV化、軽量化で求められる大型薄肉部品ニーズといった、部品生産においては大幅な省エネ化を求めながらも莫大なエネルギーを要する大型部品量産、と相反するニーズへの対応が求められている。さらに資源不足や少子化を背景とした生産年齢人口の減少加速がある。

これに対し、芝浦機械は射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機、工作機械、 超精密加工機、産業用ロボット、電子制御装置と幅広いラインナップのシナジー効果を高め、「製造業が抱える問題を解決する」方針を掲げる。

大型製品の大型化には工場スペースも求められ、日本では物理的制約から生産ができないという課題が今後増える可能性がある。これを受け、同社はダイカストマシンなどを対象に省スペースで生産ラインを組めるように能力は向上させた上で設備のダウンサイジング化を図っている。例えばダイカストマシンではドライサイクルタイムを従来比29・6%短縮、CO2排出量6・7%低減できる電動型締機構を標準搭載の「DC400R2-EM」(写真1)がその代表例だ。さらにFSW(摩擦攪拌接合=写真2)を取り入れてEV向けアルミ大型部品に対応する提案を強める。

DC400R2-EM

FSW(摩擦攪拌接合)

標準切削機をFSW実施可能な複合加工機へ生まれ変わらせ、専用設備から複合設備による工程集約化を実現。バッテリーケースではFSWにより小型アルミダイカスト部品を接合してEV向けで求められる鋳造品の大型化につなげる。

FSWをより使いやすくするため、自社開発の特殊アタッチメントを使用することで標準切削機(門形マシニングセンタ、横中ぐり盤、立旋盤)を、FSW実施可能な複合加工機へランクアップできるようにした。いわば削るだけでなく、付けることもできる複合加工技術へ生まれ変わらせ、ユーザーは工程短縮実現とともに新工法の選択肢を拡げられるメリットがある。

FSWは人体への影響が懸念され、年々規制が強化されている溶接ヒューム・スパッタが発生せず、施工時に光も音も出ないのが特徴。溶接に比べ格段に省エネでかつクリーンな技術で、機械施工となるため作業者の熟練度に寄らず、安定した製品品質を確保できるため工程の属人化を防げるため、今後普及が進むことが予想される。

工程集約化、製造エネ低減、省人化が可能となる金属積層造形もその一つで、同社が開発するDED(Directed Energy Deposition)方式(写真は、既存部への補修、高機能化(耐食性、耐摩耗性向上)が可能になるため、産業機械部品や金型など広い適用が期待できる。

DED(Directed Energy Deposition)

アルミ大型部品向け金型製作のリードタイム短縮とコスト低減

アルミ大型部品への対応として加工面でもラインナップ化を急ぐ。開発した門形マシニングセンタ「MPC-3120H」(写真4)は「粗~仕上げまで」をコンセプトに金型製作におけるトータルリードタイム短縮とトータルコスト低減を可能とした。一般的に粗加工用と仕上げ加工では要求される加工能力が違うため、機械を分ける必要があるが、開発機は粗加工用のスナウトと仕上げ用のアタッチメントが併用可能。粗加工ではフライス加工で毎分735ccの削除量を達成。アタッチメント交換で段取り替えなしに仕上げ加工まで実施でき、加工時間と段取り時間を短縮できる。

MPC-3120H

 開発したグリース潤滑を採用した高速5軸アタッチメントはオプションで、これにより金型の傾斜面における工具短縮や周速ゼロ点を避けたカッタパスを実現することで、ビビリの回避や加工面質向上が可能となる。 

さらに少子高齢化による生産年齢人口減に対する自動化・省人化ニーズ急増に、同社は人作業をそのまま置き換えられるロボットの投入も急ぐ。双腕協働ロボットのヒト型「RIDRS-H」(写真5)、スカラ型「RIDRS-S」(写真6)の2機種を同時開発、販売を開始する。両機種とも可搬質量は片腕6kg、両腕で10kgを実現。最小限の安全方策に留め、現場設置面積の縮小が特徴。協働ロボットの安全規格(ISO 10218-1, ISO TS 15066等)を取得する見込み。

RIDRS-H

RIDRS-S

また自動車のEVシフトによる車体軽量化ニーズはアルミ大型成形だけでなく樹脂の大型部品も需要拡大している。このため同社は全電動式射出成形機シリーズに超大型クラス3千㌧機を新たに投入し、小型50㌧機から超大型3千㌧機までのラインアップが完成した。一方、ダイカストではギガキャスト用マシンについて現在検討中。


 これら取り組みは芝浦機械が静岡県沼津・御殿場の両工場で実施するプライベート展示会「第18回芝浦機械グループソリューションフェア2023」(10月31日~11月2日)の開催前説明会で発表された。