住友理工(株)

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溶解炉など設備に貼り付け簡単

低コストに〝脱炭素〞と〝脱3K

作業環境を変える革新的な厚さ0.㍉高断熱シートが活躍

「稼働を止めずに簡単、低コストで省エネと高温下での作業環境改善につながる脱炭素ツール」として住友理工の新商品開発センター(愛知県小牧市、TEL 0568-77-2199)は従来の断熱材では不可能だった厚さ1㍉以下の薄膜高断熱シート「ファインシュライト」を開発した。

 接着剤で溶解炉、ヒーター等の設備機器類に容易に貼り付けでき、手間をかけずに脱炭素と同時に脱3K(危険、汚い、キツイ)へ向けた取り組みができる。このため同社は製造業のなかでも電力使用量が非常に高いダイカスト市場を皮切りに、脱炭素、脱3Kへ大きく舵を切る製造現場への普及を目指す。

「ファインシュライト」は独自の配合・加工技術により、厚さ0.6~0.7㍉でもしっかりと断熱性能(保冷・保温)を発揮し、複雑形状のものでも接着剤で容易に貼り付けられるユーティリティ性がある。工場内の幅広い用途で半永久的に使用でき、価格は1平方㍍当たり千円から。溶解炉1台当たりだと5、万円程度と同社は試算する。

 既に2021年からダイカストメーカー各社で検証し、好結果も得られている。例えばアルミダイカストメーカー、多田スミス(兵庫)は昨夏に溶解炉で試用した。同社が期待した点はエネルギー削減と高温下作業による離職率低減、やけど防止等の安全対策になる。

 その結果、貼り付け前と後では炉の表面温度が最大20℃下がり、設備からの照り返しの熱の温度を下げることにより作業環境の改善につながり、作業員の負担軽減につながったという。さらに炉のエネルギー使用量も保温性が増したことで3.5%削減でき、工場内のエアコン費削減にも効果がみられた。

 ダイカスト各社からはより高耐熱の要望もあることから、住友理工は新たなグレード(高温域~500、厚さ0.4㍉)も現在開発中だ。

溶解炉に薄膜高断熱シート「ファインシュライト」を貼り付けた様子。貼り付け前後では炉の表面温度が最大20下がり、作業環境が改善。

「ファインシュライト」貼り付け前の溶解炉。ダイカストメーカーにとって高温下作業による離職率増加とやけど防止等の安全対策が喫緊の課題になっている。

熱の伝わらない細孔構造

「ファインシュライト」は水に浮く軽さと高断熱性を併せ持ちながらも従来、加工困難だったフィラー(シリカエアロゲル)を、独自の配合技術と加工技術により断熱塗料化したものになる。

 シリカエアロゲルは90%以上が空気で構成され、内部の細孔が空気の動けないほどの空間に仕切られ、空気が対流できないことで熱対流を抑制し、断熱効果を発揮するのが特徴。この仕組みを活かし、「ファインシュライト」は気泡径50nmと空気が動けず、熱の伝わらない細孔構造で、熱伝導率0.020W/mKと静止空気を上回る高断熱性を実現した。

 ちなみにこれまでの断熱材は発泡ウレタン(気泡径500μm、熱伝導率0.035W/mK)、繊維系吸音材(気泡径50μm、熱伝導率0.041W/mK)と気泡がミクロンサイズで断熱性が低かった。

◇お問い合わせ先

住友理工株式会社 新商品開発センター ファインシュライト担当

TEL 0568-77-2199

E-mail : finesulight@jp.sumitomoriko.com