年 頭 所 感
一般財団法人素形材センター
会長 小脇 一朗
2025年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
2024年は、9月の自民党総裁選に伴う石破内閣の誕生、10月の衆議院議員選挙、11月の米国大統領選挙など、国内外における政治情勢が大きく変化をいたしました。
海外では、欧米の高金利水準の継続、中国不動産市場の停滞継続の影響による景気の下振れ、ロシア、ウクライナ、中東等の地政学的リスクなど懸念材料が多く存在しております。国内においては、雇用・所得環境が改善傾向にあり、実質賃金の伸び悩みが見られますが、各種政策効果により景気が緩やかに回復していくことに期待をしております。ただ、昨年1月の能登半島地震の関係では、被災地域における復旧・復興が徐々に進展しておりましたが、9月の豪雨災害によって引き続き厳しい環境が継続し、復旧・復興に大きな支障が生じていることに大きな懸念を感じております。
こうした状況に対応するため、政府は、昨年11月22日、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を決定しました。総合経済対策の事業規模は39兆円程度、補正予算の一般会計追加額は13. 9兆円とし、経済全体の成長力・供給力を強化し、成長型経済の礎となる国民の安心・安全の確保に万全を期していくこととしております。
素形材産業においては、受注の大幅な減少に加えて、国内外のサプライチェーンの再構築など事業を取り巻く環境が大きく変化している中で、生産性の向上、労務環境の改善などが求められております。更に、デジタルトランスフォーメーション(DX)、EUによるカーボンフットプリントのルール化をはじめとするカーボンニュートラル(CN)に向けた対応など、社会構造・産業構造を大きく変容する動きが一段と加速しております。
また、素形材産業は、ものづくりの基盤産業として、自動車、電機機械、産業機械など我が国を代表する製造業を支える重要な産業であります。昨今の激変する経済環境においては、企業・産業を超えた幅広い技術・技能の結集により、一層の競争力の強化を図ることが重要であります。
当センターとしては、素形材産業の皆様が大きく変化する経済環境に対応され、更に中長期の課題に取り組めますよう、素形材技術セミナーや技術研修講座、経営セミナーや研究会等を継続的に実施しております。
また、長年の課題であります素形材産業の適正取引の推進のため、国のガイドラインに基づき、昨年5月末、労務費の適切な転嫁、手形等の新たな指導基準を踏まえた変更を内容とする「素形材産業の適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」の改訂を行いました。また、物流の適正化・生産性の向上に資するため、一昨年策定した「素形材産業における物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」を継続的に推進するなどの取組みを着実に進めております。
今後とも素形材産業の人材育成、普及啓発、技術開発などの各種事業を一層充実して、皆様を積極的にご支援して参る所存でありますので、是非とも当センターの機能を最大限に活用して頂きたいと願っております。
最後になりますが、皆様方のご健勝と益々のご活躍並びに素形材産業の一層の発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。