年頭のご挨拶
一般社団法人日本ダイカスト協会
会 長 蔦 昌 樹
明けましておめでとうございます。
新年を迎えるにあたり、年頭のご挨拶を申し上げます。
日本ダイカスト協会の正会員、賛助会員並びに関係者の皆様には日頃より協会活動に対して多大なるご協力とご支援をいただいておりますこと心より厚く感謝申し上げます。
昨年、世界ではエネルギー価格の高騰によりインフレが進みました。中国の不動産の不良債権化、環境問題に加え、方向の定まらぬ自動車の電動化等の影響により経済も好材料の無い状況でした。また、ロシアのウクライナ侵攻に加えイスラエルの紛争、中国の東シナ海の領有権問題、台湾問題等、紛争の兆しは拡大する一方で地政学的なリスクが一段と顕在化いたしました。
我が国においては円安・エネルギー価格の高騰によるインフレが進みましたが、30年ぶりに賃金アップが進み、インバウンドも戻り、経済はまずまずの状況でした。
このような中、アルミの生産量は、自動車メーカーの生産台数が伸び悩んでいることもあり、90万トンを割り込み、ダイカスト業界として苦しい結果となりましたが、これからの2〜3年も先行きが見通せない状況になりそうです。
自動車業界は大変革期と言われますが、現状はもっと広く世界の大変革期なのでは無いでしょうか。
さらに、情報技術の進展によりグローバル化が進み、環境問題が顕著になり、国際紛争が多発し、地政学リスクが高まり、アメリカにおいては民主主義のあり方で国が分断しています。
今の世界情勢は過去とは全く異なり、予測することが出来ないのが実情です。
我が国は、高度成長期には各国への刺激に配慮しつつ、官民が一体となり効率を追求して優れた製品を供給することで市場を席巻し、世界第二位の経済大国になりました。
今日、市場はグローバル化により拡大しましたが、競争も増え、自国の利益を優先する過酷な競争が繰り広げられています。
我々の市場においては、今後、ますますサプライチェーン全体の強化を図り、国家の経済安全保障を実現する必要があります。既に経済産業省を中心に各業界団体で対応策の検討が始まっていると聞いていますが、サプライチェーン全体が成り立つ、合理的且つ競争力ある体制構築のためには、我々自身が声を上げると同時に、我々の声が通り易くする様に技術力・生産性・品質を高めることが重要です。
昨年11月開催の「j-dec2024(日本ダイカスト会議・展示会)」では、DX・GXなどの最新技術の共有や業界が直面する課題への対応策について、幅広い議論を深める場を提供いたしました。また、持続可能性や競争力強化の視点から、原材料やエネルギー問題への対応に重点を置いた議題にも積極的に取組んでまいりました。
今年は、当協会設立70周年となることから、当協会通常総会と同日5月20日(月)に記念式典を開催する予定としております。平素よりお世話になっております経済産業省様を始め、関係業界並びに学識経験者など、多くの方々に御臨席を賜ればと願っております。
この節目を迎えるにあたり、これまでの業界の歩みを振り返るとともに、未来を見据えた新たなビジョンを共有し、次なる成長への礎を築く機会といたします。
当協会は、本年も引き続き、技術革新や人材育成をはじめとする幅広い活動を通じて、会員企業の皆様を全力で支え、ダイカスト業界の発展に尽力してまいります。引き続きのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
結びに、皆様のご健勝とご多幸、そしてご事業のますますのご繁栄をお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。