2022ダイカスト展示会注目のブース

AZTECH


ランングコスト及び産廃費の大幅削減が可能

離型剤/切削油向けエマルジョン廃水処理装置

NOIL SYSTEM」


 ダイカスト業界のゼロエミッション実現へ、廃水処理の分離膜システムメーカー、AZTECH(アズテック、横浜市都筑区、TEL045-512-9714)はランニングコスト及び産廃費の大幅削減が可能なダイカスト離型剤/水溶性切削油向けエマルジョン廃水処理装置「NOIL SYSTEM」を開発した。人材不足が進む現場でも簡単に扱える構造になっており、11月開催のダイカスト展初出展での実機デモを機に本格販売に乗り出す。

 ダイカスト向けに着目したのは、急速に環境対応が求められる中で廃水処理のコスト増やCO2削減策の枯渇で困っているダイカストメーカーが急増しているため。これを踏まえ、同社は安価で誰でも簡単に処理できる仕様を目指した。

 同社は日本発の特殊な分離膜(UF膜=限外ろ過膜)を独自に企画。世界中の膜を仕入れられる調達ルートを強みに独自ノウハウを融合したものになる。特殊材質スパイラル型のUF膜で、油と界面活性剤を分離し、油分濃度8%程度の廃水であれば油分を99%以上除去でき、なおかつ膜寿命も長い(半年~1年)。昨夏に1号機を関東の中小ダイカストメーカーへ納入、膜交換もなく1年経過できることを実証し、2号機はこのほど別のダイカストメーカーに納入した。

 同装置「NOIL SYSTEM」は、この新開発の油分除去UF膜を基軸に、界面活性剤や金属イオン等を除去するRO膜(逆浸透膜)をオプションで組み合わせられる仕組みで、ダイカスト離型剤廃水だと1/50程度まで減容化でき、産廃費の大幅削減が可能だ。RO膜併用時の処理水質は水道水レベルで下水放流や工業用水として再利用でき、SDGsが求めるサステナブルな循環型産業にも貢献する。

 自動膜洗浄機能による省力運転で、予備膜も常備し簡単に切り替え可能だ。膜交換はワンタッチ継手で工具不要、軽量なため一人で交換作業できるグレードもある。処理量は1千~2千ℓ╱h(中型タイプ)。蒸発処理法と比べCO2排出も約90%削減でき、コンパクトサイズのため設置スペースもとらない。ラインナップはメインの中型(800万円~)と小型(320万円~)、大型(3千万円~)の3タイプある。

 なお、AZTECHは膜素材の代理店として2014年に創業し、大手廃水処理装置メーカー出身者を招き、2016年から切削油洗浄廃水処理装置の開発に参入。完成車メーカーやティア1で実証試験を重ね採用実績を上げ、2017年にはダイカストメーカーへも納入した。その性能からダイカスト関係者の目に止まり、離型剤廃水を主にしたダイカスト向け装置開発に乗り出した。